国内外で評価される高品質なワインを生み出す「マルス穂坂ワイナリー」。山梨県韮崎市の穂坂地区に拠点を置く新設のワイナリーです。
そんなマルス穂坂ワイナリーで11月5日、特別なイベントが開催されました。
その名も「Open Winery 2022 ワイナリーをひらく。風土と文化がひとつになる極上ペアリングダイニング」。
山梨に縁のある新進気鋭のシェフ・ソムリエたちが集結し、山梨の食材を使った料理と厳選されたワインによる贅沢なペアリングを楽しむイベントです。
美食を通して山梨の新たな魅力に気づくひと時。その当日の様子を、お届けします。
世界レベルを目指す志高きワイナリー「マルス穂坂ワイナリー」
山梨県韮崎市穂坂町にある醸造所「マルス穂坂ワイナリー」。
鹿児島に本社を持つ「本坊酒造」が、自然豊かな穂坂の土地を活かしさらなる品質向上を目指して新設した醸造所です。
日照時間が長く、少雨で冷涼な気候、八ヶ岳から吹き込む風などに恵まれている穂坂の土地。そこで育つぶどうは高い凝縮度と腰の強い味わいが特徴で、世界基準の高品質なワイン作りを目指すマルス穂坂ワイナリーにとって欠かせないものです。
そんなマルス穂坂ワイリーの裏側・醸造所を見学。
体育館ほどの大きさがある建物内の中に巨大タンクとワイン樽が並び、営々とワイン作りが行われています。設備の真新しさと丁寧な整備が垣間見え、「きれい……」と思わず声をもらす参加者も。
©YAMANASHI GASTRONOMY&WINE
「グラヴィティ・フロー」という傾斜地を利用した独自製法をはじめ、ワイン作りの背景にあるこだわりや弛まぬ努力をマルス穂坂ワイナリーのスタッフが熱心に解説。参加者たちも終始興味深く話を聞いていました。
山梨ワインと美食を心ゆくまで堪能する「ペアリングダイニング」
ワイナリー見学後は、南アルプスや富士山、広大なぶどう畑の絶景を臨むウッドデッキを舞台に「ペアリングダイニング」を開催。山梨県在住・出身の才能豊かなシェフやソムリエたちが、山梨県の食材を活かしたスペシャルコースとともに、厳選された山梨ワインや日本酒を提供します。
©YAMANASHI GASTRONOMY&WINE
【アミューズ】フィンガーフード2種&白スパークリングワインのペアリング
まずはワイナリーへの訪問を歓迎し、2品のアミューズとウェルカムドリンクで参加者をおもてなし。
山梨県出身の堀内 浩平シェフによる「陸作信玄海老のアスピック コライユのアイヨリ」と「山梨産サフランチーズケーキサレ 名水赤鶏のもつ煮風レバームースと柿」、そして「シャトーマルス 穂坂シャルドネ&甲州スパークリング 2021」が登場しました。
グラスにワインが注がれ、いよいよペアリングダイニングの幕開けです。
先日解禁されたばかりの山梨ヌーボー「牧丘 甲州 2022」をグラスに注ぎ、今日という特別な一日に、そして新たな出会いに、乾杯!
【前菜】山梨の名産品に秋の味覚を添えた一皿&辛口白ワインのペアリング
一品目の料理は、山梨県忍野村の日本料理店『忍野八洲』の店主・天野 洋喜氏による「鮑の煮貝 杉板焼 焼栗茶巾 MBA 射込み 銀杏餅田楽」。
山梨の意外な名産品「鮑の煮物」とともに、焼き栗や銀杏で秋の味覚も楽しめる趣深い前菜です。
対するワインは、山梨産の甲州種を使用した「ルバイヤート 甲州辛口ヌーボー 2022」。香り豊かな辛口の白ワインが料理を引き立てます。
【二品目】馬肉と洋梨の爽やかな創作フレンチ&タンニン際立つ赤ワインのペアリング
二品目の料理は、韮崎市のレストラン『La Cueillette』オーナー・山田 真治シェフによる「山梨産馬肉と洋梨のセルクル仕立て 食用酸漿 牛蒡のムース 無農薬ライムの泡」。
馬肉も山梨県に根付く食文化の一つ。その旨みをフレッシュな洋梨が包み込み、優雅でとろけるような味わいです。
こちらは、存在感のあるタンニンと独特の香りがクセになる赤ワイン「登美の丘 ビジュ・ノワール 2019」とともにいただきました。なめらかな口あたりが料理と抜群の相性です。
【三品目】山梨の伝統野菜を味わうお椀料理&軽やかな日本酒のペアリング
三品目の料理は、山梨市の寿司割烹『いづ屋』の店主・岩澤 尚也氏が提供する和の前菜「八幡芋万頭 蜆椀」。
山梨の伝統野菜「八幡芋」の粘り気と、北杜市で獲れた歯ごたえの良いしいたけの食感を楽しめます。素朴でほっこりとした味わいに身も心も温まります。
こちらの料理にはワインではなく日本酒「武の井 純米吟醸」をチョイス。アルコール度数14度で軽やかに楽しめるお酒です。料理に詰まった旨味と同等レベルの旨味を持つお酒を、という視点でペアリングしたそう。
【四品目】八ヶ岳の恩恵を受けて育った魚の蒸し料理&目にも美しい白ワインのペアリング
四品目の料理は、山梨県北杜市のフレンチレストラン『Terroir 愛と胃袋』のオーナー・鈴木 信作シェフによる「八ヶ岳湧水岩魚 身延湯葉包み蒸し 落花生と青柚子風味 ブールブランソース」。
八ヶ岳の森の湧水で育ったきめ細かい身の魚に、クリーミーで香ばしい落花生と爽やかな青柚子のアクセントがきいたソースが上品に絡みます。
ワインは「キュヴェ三澤 ブラン 2015」を。なめらかな口当たりと見た目も華やかな黄金色の白ワインです。
ペアリングは通常、料理を先に決め、後からワインを選定しますが、このペアリングは先にワインを決めてから料理を考案する真逆のアプローチによって生み出されました。香り豊かな青柚やスパイスの四川花椒など、シェフが細部までワインとの相性を考え抜いた完成度の高いペアリングです。
【五品目】土窯で焼き上げた山梨のブランド牛&ヴィンテージ赤ワインのペアリング
五品目の料理は、山梨県富士河口湖町のレストラン『Restaurant TOYOSHIMA』オーナーシェフ・豊島 雅也シェフによる「甲州ワインビーフ 土窯 薪」。
ワイン県・山梨が生み出した牛肉ブランド「甲州ワインビーフ」の味をシンプルに、じっくり堪能できる一皿。
そしてワインは「シャトーマルス 穂坂日之城 カベルネ&メルロー 遅摘み 2018」。肉料理に相性抜群な穂坂生まれのヴィンテージの赤ワインで、肉の旨味が際立ちます。
【デザート】フランス伝統菓子と世界三大珍味のコンビネーション&デザートワインのペアリング
そしてデザートには、山梨市牧丘町の完全予約制レストラン 『LA MAISON ANCIENNE』オーナー・鈴木シェフが手がける「タルトタタン フォアグラアイス」。
甘酸っぱいりんごのタルトタタンと、フレンチでおなじみの食材・フォアグラをアイスにして添え、独自のクリエイティブで魅了します。
そしてペアのワインは「蒼龍 フリージングワイン 赤マスカットベーリーA」。ぶどう本来の甘さを最大限に引き出したデザートワインで、食事を華やかに締めました。
料理やワインのプロたちによるスペシャルなライブ解説
料理とワインがサーブされる合間もお楽しみは止まりません。
今回の企画に携わったワイン醸造家、生産者、料理人、ソムリエたちが、ペアリングをより楽しむための解説をお届けします。また特別出演のミュージシャンによるロマンチックな演奏も会場を盛り上げました。
ワインや食の造詣を深めながら山梨の美食を味わう濃厚な時間。参加者からは「最高!」という言葉とともに笑顔が飛び交いました。
山梨に旅することでしか味わえない美食体験がある
山梨ワインをはじめとする山梨の食文化のポテンシャルは高く、掛け合わせ・組み合わせ次第でまだまだ無限の可能性があります。これからもその可能性を探り続け、この地を旅することでしか味わえないプレミアムな美食体験を届けてまいります。
取材日:2022年11月5日
画像:YAMANASHI GASTRONOMI&WINE